CBI学会2017年大会 フォーカストセッション

「参加型ヘルスケアと迅速学習」  
日 時 2017年10月4日(水) 14:30-16:00・16:30-18:00
会 場 タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)3階303会議室
参加資格 この集会は、CBI学会2017年大会の一部「フォーカストセッション」として実施されますので、参加者は大会への参加登録が必要になります。
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 全体プログラム
@14:30-16:00 「参加型ヘルスケアと迅速学習-1」<FS12-1>
   モデレータ:神沼 二眞(ICA)
A16:30-18:00 「参加型ヘルスケアと迅速学習-2」<FS12-2>
   モデレータ:石田 誠一(国立医薬品食品衛生研究所)、中井 謙太(東京大学)

@14:30-16:00 「参加型ヘルスケアと迅速学習-1」≫CBI大会フォーカストセッションFS12-1
   モデレータ:神沼 二眞(ICA)

開催趣旨:
現在、ヘルスケアにおいては、ビッグデータや AI への関心が高まっており、ICT 企業の参入 も国の研究支援も盛んになっている。しかし、サービスの視点からみると、それらは変化の始まりに過ぎない。次に来るのは、生活者が先導する参加型ヘルスケアと迅速学習の仕組みの組み込みである。
ICA(NPO 法人サイバー絆研究所)は、次世代ヘルスケアを特徴づける参加型ヘルスケアに実践的に取り組む努力を始めている。我々の最初の目標は、医師の処方箋を必要としない「薬にあらざる介在法(Non Pharmacological Intervention, 略して NPI)」を活用するための基盤的な仕組み Platform を整備することである。またそれと併行して、そのような基盤を活用した研究に自らも取り組むことである。
そのための準備的な課題も多数ある。その中で我々がとくに重要視しているのが、次の2つの活動である:
(1)ヘルスケアの基盤である生物医学研究の成果を迅速に学べる仕組みづくり。
(2)進歩が猛烈な ICT を活用する能力(ICT Literacy)を習得し維持する仕組みづくり。
我々は、こうした仕組みを「迅速学習のシステム、あるいは環境、あるいはプラットフォーム(Rapid Learning System/Ecosystem/Platform)」と呼んでいる。迅速学習の仕組みをヘルスケアに組み込む重要性は、Rapid Learning Healthcare という概念として、米国ではすでに広く認識されており、取り組みへの努力が始まっている。
この連続した2つのセッション前半では、Rapid Learning Healthcare の概念を参加型ヘルスケアの視点から概説するとともに、実例を紹介する。

1. 「学習する医療システムとは?」
   田中 博(東北大学、東北メディカル・メガバンク機構)
2. 事例紹介:がんの精密診療に関連した話題
A16:30-18:00 「参加型ヘルスケアと迅速学習-2」≫CBI大会フォーカストセッションFS12-2
   モデレータ:石田 誠一(国立医薬品食品衛生研究所)、中井 謙太(東京大学)

開催趣旨:
ICA は、参加型ヘルスケアの実践領域として、高齢者に多い複合化した慢性疾患の3次予防に 関心をもっている。具体的には、肥満、糖尿病。腎疾患、飲酒による健康被害、さらに認知症などへの食事や運動などによる対処法や、がん体験者(cancer survivors)への支援、低炭水化物食など特定の食事法 Dietsの効果と危険性の見極め、さらに健康長寿をめざした対処法や生活様式の探索などである。その実践として、それらの活動を支援する基盤環境 Platform の構築を最初の目標にしている。その視点から注目しているのが腸内細菌研究である。
現在、「腸内細菌の健康と疾患への関わり Microbiome and Health and Disease」に関する研究は、猛烈に進歩、拡大、深化している。また、そこから得られてくる知識は、我々が関心をもっている上記の疾患領域に関係しているだけでなく、生活者が自ら実践してその効果を自ら体験してみることができる種類の知識であることが少なくない。しかし、そうした知識を活用するためには、実践者である参加者自身が、腸内細菌とその健康と疾患に関する知識を迅速に学習する必要がある。
そこで ICA は、爆発的に発展しているこの研究領域の成果を「腸内細菌を専門としていなかった」研究者や、一般の医療関係者や、Proactive な生活者(あるいは患者)が、迅速に学習して自分たちの実践に生かせるようなプラットフォームの構築を、ICA の「参加型ヘルスケア」プロジェクトの最初の目標に定めた。このセッションでは、その内容や準備状況について簡単に紹介する。この目標を実現するためには、腸内細菌や代謝物解析の研究者や専門家だけでなく、データサイエンスに関わる研究者や専門家の積極的な協力が得られることが前提になる。これについても討議する。

話題1. 医薬品開発とその適正使用からみた腸内細菌の役割
話題2. 腸内細菌研究の進展とD2Kサイエンス(Translational Bioinformatics)人材の養成