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(1)現状の調査
  健康計量学研究会は、まだ構想の段階にとどまっています。この会を実際に立ち上げるためにまずなすべきことは、この十数年急速に進歩してきたゲノム解読やオミックスなどの新しい研究手法と、生理学や統計学など生物医学で知られている従来からの手法との関係を把握することだと考えています。次に、それらをどのように組み合わせたら、健康、医療、介護などの実践からの要求に応える専門家を育成できるかを考察したいと考えています。

  方法論的に言えば、医療や医薬品の臨床試験などにおけるデータ収集や解析技法は、すでに確立された分野になっていますが、ゲノム革命によって、そこにどのような新しい動きが起きているかをしらべることが必要だと考えています。例えば医薬品の臨床試験を加速するためにFDAが提唱しているCritical-Pathや、臨床試験のためのDisease Model、そうした分野におけるTranslational Bioinformaticsと呼ばれるBioinformaticsの新しい領域などをしらべる必要があると考えています。

  また、予防や健康法の実践に関係する、ヒトの健康特性の予測や、健康状態の計測や、さまざまな介在法の効果の判定や、健康指標の探索などに関わる、いわゆるEvidence-Based Medicine的な評価法が、臨床医学でいうEBMとどう違うのかは、健康食品(機能性食品)やサプリメントの開発者にとっては、大きな関心事であり、これも考察に値する課題です。

   さらに根源的な問題は、ゲノム解析技術の進歩で、個人の遺伝的な特性が判明してきた場合、究極においては診断も治療も、健康や予防のための介在法の選択も、個別になされる可能性があります。そうなると「統計学」に立脚した判断は、根拠を失うことになりかねません。これは確実に予見される未来であり、対処を考えておくべき課題だと思われます。

(2)研究のための知識と情報計算基盤の構築

  G/O-P/N-D/T研究会と同じくこの研究会でも、理論や情報計算技法を活用するという視点から、爆発的に生み出される生物医学知識や多岐にわたっている情報計算技法を、見やすいように整理して、共通性の高いものは、容易に利用可能なように案内するようにしたいと考えています。しかしG/O-P/N-D/T研究会と共通するところが多いいと思われるので、こうした作業は、合同で行うのがよいと考えています。

(3)講演会やセミナーの開催

  データ解析の専門家の必要性は、医学では認識されていますが、予防健康の介在法に関しては、個々の分野に散らばって研究されているため、あまり認識されていないように見受けられます。そのためにこの会では、公開の講演会やセミナーを開催することで、この分野研究者の必要性を訴え、とくに若手研究者を発掘し、研究者人口を増やすことを考えています。こうした集会では、研究者の就職機会の発掘や創出もテーマにします。

(4)Open Courseの提供

  この分野の研究者の不足と就職機会の少なさという、一見、矛盾するような現状を打破するために、研究者のSkill Upと就職能力の開発を目的とした教育を、ネットを利用して行うことを試みます。

(5)その他

  この会の関心領域も、猛烈な勢いで進歩し、変化しています。明日の状況は予断を許しません。この意味で、この会の運営では、上記以外の活動も常に視野に入れています。
  また、この会は、研究的な課題だけでなく、「職Jobの機会を開拓する」ことを重要な使命と考えていますので、この目的に沿った活動も検討しています。

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