この研究領域は、古くは統計学Statistics、推測統計学Statistical Inference、現在ではデータ解析Data Analysis、データマイニングData Mining、パターン認識Pattern Recognitionなどと呼ばれている一般的な技法に関係していますが、そうした技法を、生物学や医学だけでなく、予防や健康科学のような分野に適用しようとするところが新しい試みと言えます。したがってこの研究領域は、医学統計学Medical Statistics、生物統計学Biostatistics、計量生物学Biometricsなどとは、もちろん密接な関係にあります。
しかし、ICAがめざす健康計量学研究会は、すでに存在しているそれらの技法とは違ったところがあります。それは、この研究会が、統計学など技法の研究を主たる目的とするのではなく、健康や医療や介護に関わる「サービスに違いをもたらす」ことを目的としていることです。この研究会がとくに目標としているのは、計量学的な技法を、健康や医療や介護のサービスという実践の場にもちこもうとしていることです。こうした領域に持ち込みたい技法には、すでに長い歴史があり、洗練されたものになっています。それに較べるとそうした技法を実践の場に持ち込み、有効に生かす試みは、そして成功を収めている事例は、まだ余り多くありません。
私たちは、そうした状況を変えたいと願っており、そのために協力してくださる専門家を幅広く求めています。私たちは、技術を革新するよりは、サービスを革新することが、健康のイノベーションに通ずると考えています。そのためには、データ収集や解析の専門家が、新しいサービスの担い手に加わることが絶対に必要だと考えています。
この会は、そうした認識の下に、健康状態の計測や、健康特性の推測、健康状態を変えるさまざまな介在法Interventionの探索と効果の判定を、分子レベルから生理学的なレベルまでの技法を組み合わせて行うことをめざした計測技術、データ解析技法、モデル構築Modelingやシミュレーション技法Simulationなどに関する情報交換と研究者の交流を支援することで、この研究領域の進歩と現実のサービスの向上に寄与することをめざしています。こうした活動に関心ある方は、ぜひご連絡ください。